HDMI と SDI の違い ― イベント現場でどっちを使うべき?

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はじめに

映像の現場で必ず話題になるのが、**「HDMIとSDIのどっちを使うべきか?」**という問題です。
僕自身、イベント・配信・ホール・屋外現場などいろいろ経験してきましたが、結論としてはこう思っています。

状況によってはHDMIでも全然OK。
ただし長距離・安定性・動きがある現場ではSDIの方が圧倒的に安心。

この記事では、HDMIとSDIの違いを基礎から解説しつつ、実際の現場で起きたリアルなケースも交えて説明していきます。


HDMI と SDI の基本的な違い

HDMI:家庭用・民生向け

  • テレビ、パソコン、ゲーム機など家庭用機器向け
  • 映像と音声を一本で送れる
  • 安価で手に入りやすい
  • ATEM Miniシリーズと相性が良い

SDI:業務用・現場向け

  • 放送・イベント・配信現場で使用
  • BNC端子でロックできる(抜けない)
  • ノイズ・距離に強い
  • 同軸ケーブルで長距離伝送に向く

HDMIのメリット・デメリット

メリット

  • 安い
  • 普及していて入手しやすい
  • 音声も同時に送れる
  • ATEM Mini系の環境では扱いやすい

デメリット

ケーブルが抜けやすい

HDMIはロックできないので、誰かの足やカメラマンの動きで抜けるリスクが高い。

長距離に弱い

5〜10mを超えると不安定になりがち。
20m以上のHDMIケーブルは内容によっては“向き”があり、

  • 「To the TV」
  • 「Source → Display」

のような表記があるタイプもあります。

向きを逆に接続して映らず、本番前に巻き直しになったこともあります。

映像は出るけど音だけノイズになる相性問題

機材によっては
映像OKなのに、音声がノイズのみ
というパターンがあります。

原因がとにかく分かりづらいので、
僕は基本的に 音はオーディオIF → ATEM へ送る 運用にしています。

光HDMIは100m飛ぶがリスクが大きい

Optical HDMI(光HDMI)なら100mほど飛ばせますが、

  • 高い
  • 折れると即断線
  • 曲げに弱い

というリスクがあり、現場で雑に扱えません。

屋外で光ケーブル(LC)を敷いた際、動物にかじられて断線したこともありました。


SDIのメリット・デメリット

メリット

長距離が安定

僕の現場では CANAREの5CFW を使うことが多いですが、

  • 80〜100mは普通に飛ぶ
  • ジョイントして150m届いた現場もあった

というくらい安定しています。

ロックできるので抜けない

BNCコネクタはロック式で、
カメラマンが動き回る撮影でも安心。

ノイズに強い

ステージ裏のようなノイズ源が多い場所でも安定します。


デメリット

ケーブルが重い

長くなるほど重たく、巻くのが大変。
取り回しは確実にHDMIよりしんどいです。

ケーブルの種類により性能差が激しい

SDIは「SDIなら全部強い」ではありません。

  • 5CFW / 5CFB → 長距離に強い(CANARE推奨)
  • 5C2V → 距離伸びない
  • 細い安物BNC → 不安定

同じSDIでも品質差がかなりあります。
コネクタより“ケーブルそのもの”がどれだけ信頼できるかが大事。


HDMIで起きた実際のトラブル

向き違いHDMI問題

20m級のHDMIで向きがあるタイプを逆に敷設してしまい、本番直前にやり直しになった経験があります。

音声だけノイズ問題

HDMIで音声を送ると、
映像は正常なのに音だけノイズだらけになる組み合わせがありました。

Optical HDMIのリスク

  • 折れやすい
  • 高価
  • 屋外で動物に噛まれて断線

など、扱いには注意が必要です。


SDIで起きた実際のトラブル

ケーブル選定が重要

SDIは安定性が強みですが、
ケーブルの種類を間違えると一気に不安定になります。

CANAREの5CFWなら安心ですが、
古い5C2Vや安物ケーブルは途端に不安定に。

重さ・取り回しの問題

特に長距離になると、
巻き取りも大変で、仕込みの時間も食います。


現場でどっちを使うべき?(僕の結論)

HDMIで十分な現場

  • 会議室・小規模イベント
  • カメラ1〜2台
  • ケーブル長が短い
  • ATEM Mini中心の構成
  • 走り回らない現場

HDMIで問題なし。コストも操作性も良い。


SDIが必須な現場

  • 長距離(30m〜)
  • 客席後方・2Fからのカメラ
  • ケーブルを人が通る導線に置く
  • 動きの多いカメラマン
  • 安定性が絶対条件の現場
  • 屋外現場

SDI一択。特に CANARE 5CFW の安定性は抜群。


HDMI → SDI変換の注意点

  • 変換器の方向性(HDMI→SDI / SDI→HDMI)
  • USB電源の安定供給
  • 遅延
  • ケーブル品質で変わる安定性

変換器は Blackmagic Micro Converter が最も安定します。


まとめ

  • HDMIは扱いやすくて安い。小規模やATEM Mini運用なら十分。
  • SDIは重くてケーブル管理が大変だけど、安定性が段違い。
  • 距離・動き・安定性 の3つで選べば失敗しない。
  • 僕の結論:
     → 小規模はHDMI
     → 本番・長距離はSDI(CANARE 5CFW推奨)

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