はじめに
イベント現場では、ケーブル1本・アダプタ1つの違いでトラブルが発生します。
僕自身、映像・配信・音響などいろいろな現場を担当してきましたが、「これだけは持っておくと本当に安心」という定番アイテムがいくつもあります。
この記事では、実際の現場で毎回使う“必須ケーブル&アダプタ”を10個に絞って紹介します。
1. HDMIケーブル(短尺〜20m)
短距離は太めの高品質ケーブルが鉄則
短距離のHDMIは安定しますが、細いものや安物は抜けやすく、ノイズが乗ることもあります。現場では耐久性が優先です。
20mケーブルは“向きアリ”がある
20mを超えるHDMIには「Source → Display」「To the TV」などの向き指定タイプがあります。逆向きに配線すると映らず、本番直前に巻き直しになったこともあります。
Optical HDMIは100m飛ぶけど扱いが難しい
光HDMIは100mほど飛ばせますが、折れたら即断線・曲げに弱いというデメリットがあります。屋外で動物に噛まれて断線したこともあるので取り扱い注意です。
2. SDIケーブル(CANARE 5CFW 推奨)
長距離に最強。80〜100mは普通に飛ぶ
SDIはプロ現場で最も信頼されているケーブルです。CANARE 5CFWなら80〜100mは余裕です。
ジョイントして150m届いた現場も
5CFWは品質が高く、組み合わせ次第では150m飛んだこともあります。
5C2Vや細いSDIは不安定
細いSDIや古い5C2Vは距離が短くなり、一気に不安定になります。「SDI=全部強い」ではない点に注意。
3. HDMI-SDI / SDI-HDMI 変換器(BiDirectional推奨)
Blackmagic Micro Converter が最強
安定性・発熱・リクロック性能どれも優秀で、現場では一番信頼できます。特にBiDirectionalはHDMI↔SDI両方変換できるので1つ持つと対応力が上がります。
方向性ミスが多い
HDMI→SDIとSDI→HDMIを逆に刺して「映らない…!」は現場あるあるです。
リクロックとは?
リクロック=弱った映像信号を一度受け取り、整形して送り直す機能。
長距離や分配後、安物HDMI使用時ほど効果が大きく、映像が安定します。
4. HDMI分配器(スプリッター)
相性問題が多い
安価な分配器は「片方だけ映らない」「音だけ出ない」「解像度が勝手に変わる」などの問題が多発します。
重要な出力はSDI変換が最強
落とせない出力は
HDMI → SDI変換 → SDI分配 → HDMIレシーバー
が最も安定します。
5. SDI分配器(DA:Distribution Amplifier)
ホール・体育館ではほぼ必須
長距離が多い現場ではSDI分配器が活躍します。分配しながら信号を補強(リクロック)できるため、長距離でも映像が乱れにくいです。
6. USB-C ハブ(LAN付き)
配信PCの命綱
学会・企業イベントではPCにLANポートが無いことが多く、USB-Cハブが必須。特にLAN付きが安全です。
電源供給しながら使えるタイプが安心
PD対応(給電ポート付き)のハブだと、配信中に電源が落ちるリスクを避けられます。
7. XLRケーブル(音声)
ノイズに強いバランス伝送
マイク・ミキサーを扱うなら必須。5m・10m・20mを揃えておくと現場対応力が上がります。
8. 3.5mmステレオミニ → XLR変換
PC・スマホをミキサーに入れるときに必須
急遽「PC音を出したい」と言われることはよくあります。
安物はノイズリスク
ノイズが乗りやすいので、良いものを1つ持つと安心です。
9. 電源タップ(3〜4口以上)
変換器・レシーバーの電源が増える
HDMI/SDI変換器、モニター、PCなどで電源が一気に増えます。USB給電よりACアダプタ使用のほうが安定することが多いです。
10. LANケーブル(Cat6以上)
用途に合わせて太さを選ぶ
短距離なら細いLANでもOK。
引き回しが多い現場では太めのLANが安心です。
平たいLANケーブルはNG
実際にパケットロスが発生したことがあり、現場では使用しません。
おまけ:地味に助かる小物たち
- 結束バンド
- ケーブルをまとめるマジックバンド(色分け推奨)
- HDMIロックホルダー
- 予備のBNCコネクタ
- 電源延長ケーブル
特にケーブルの長さ管理は色分けが最強です。
5m=赤、10m=青、20m=緑、のように決めておくと現場が劇的に楽になります。
まとめ
- HDMIは短距離なら便利
- SDI(CANARE 5CFW)は長距離・安定性で最強
- 分配器は相性が出るため、落とせない出力はSDI変換が安心
- USB-Cハブと変換器は学会・企業現場で必須
- LANケーブルは用途に合わせて太さを選ぶ
- ケーブルは色分け管理すると現場がスムーズになる
この10選を揃えておけば、イベント現場でのトラブルは大きく減ります。


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