後輩から、こう聞かれました。
「私、何役ですか?」
その瞬間、少しだけ言葉に詰まりました。
技術でもない。
進行でもない。
ディレクターでもない。
でも、今回の現場には「1名つけます」とクライアントに伝えている。
なぜ人を置いたのか。
その役割は何なのか。
自分なりに整理してみました。
技術的には成立している現場
今回の案件は、技術スタッフだけでも成立する構成でした。
- 機材構成は難しくない
- オペレーションもシンプル
- 大きな技術リスクは見えていない
正直に言えば、技術だけで回せる。
それでも、自分は営業スタッフを1名つけました。
難しかったのは技術ではない
今回の構造はこうでした。
- 3回リハーサルのうちの1回目
- 本番担当者はリハに来られない
- 代わりに「本番担当の代理立会い」の方が参加
- 現場での調整が多い案件
ここで怖いのは機材トラブルではありません。
「言った・言わない」問題です。
決定権がその場にないリハーサル
代理立会いの方が、どこまで決められるのかは分からない。
その場でOKになったことが、本番担当の意図とズレる可能性もある。
リハーサルで出た要望が、
- 本番担当に正しく伝わるのか
- こちらに正しく戻ってくるのか
- 確定事項なのか、仮決定なのか
このあたりが曖昧になりやすい構造でした。
技術だけに背負わせるには重い
技術スタッフは、その場の判断ができます。
調整もできるし、提案もできる。
でも、今回必要だったのはそれだけではない。
- ヒアリングして整理すること
- 決定事項と未確定事項を分けること
- 「誰が決めたのか」を明確にすること
- 次回リハへ引き継ぐ責任を持つこと
これは本来、技術職の役割ではありません。
その場を回すことと、
次回に積み上げることは違う。
いなくても回る。でも揺れる。
営業スタッフがいなくても、現場は回ると思います。
でも、次回リハーサルや本番で
- 「前回そうでしたっけ?」
- 「本番担当はそう聞いていない」
- 「あれは仮決定では?」
こうした揺れが発生する可能性は高くなる。
今回、人を置いた理由は安心感ではありません。
情報を固定するためです。
今回求めていた役割
安心感役、という言葉では足りない。
必要だったのは、
・意思決定の整理役
・情報の翻訳者
・次回へ責任を持つ窓口
現場で出た言葉をそのまま流すのではなく、
構造にして持ち帰る人。
それが今回の1名でした。
「何役ですか?」への答え
今ならこう答えると思います。
「リハーサルの調整責任者です。」
技術と主催の間で、
情報を整理し、確定させ、次へつなぐ役割。
いなくても成立する。
でも、いることで揺れが減る。
役割は、肩書きよりも構造で決まるのかもしれません。



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